ロタウイルスの予防接種は必要なのか?また接種するとしたらどれくらいの時期にどれくらい接種回数が必要なのか?そして気になる料金や副作用などについて調べてみました。
ロタウイルスの予防接種の必要性とは?
ロタウイルスの予防接種をするうえで気になるのが、本当に効果があるのか?ということだと思います。
まず、下記のグラフをご覧ください。
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【出展根拠】国立感染症研究所ホームページ
http://www.nih.go.jp/niid/images/idsc/kikikanri
/H25/20131017-01.pdf
このグラフはアメリカのロタウイルスの流行を表したものです。
縦軸はロタウイルスの検出率を表したもので、横軸はweek(週単位)を表したもので、1が1月1日の週で52は大晦日の週という意味です。
なぜ、1月1日の週を横軸の中心に表示しているかというと、ロタウイルスの流行期を見やすくするためだとお考え下さい。
グラフを見てお分かりのとおり、ロタウイルスの検出率が高まるのは毎年 51週(年末)頃から、15週(3月頃)くらいまで高い状態が続くのが分かります。
ところで1991年から2006年まではロタウイルスの検出率はグラフのとおり非常に高い数値でしたが、2007年~2008年の流行期のロタウイルスの検出率はガクンと落ちていることがお分かりになるはずです。
それだけではなく、明瞭なピークも現れず流行期間も短くなっているのが分かります。
2006年までと2007年以降の検出率の大きな違いは、2006年にアメリカでロタウイルスワクチンの定期接種が開始されたのが理由です。
現在では世界の120ヶ国以上でロタウイルスワクチン接種がなされており、それらの接種結果のデータによると、ロタウイルス胃腸炎を68~79%減少させ、重症例も90%~98%減少させ、入院事例も96%減少させた事が判明しています。
こういったデータや報告からみても、ロタウイルスワクチン接種の必要性は高いと言えるのではないでしょうか。
ロタウイルスの予防接種をする時期はいつからいつまで?
それではロタウイルスワクチンの予防接種時期はいつからいつまでが良いのでしょうか?
それを知る上で、ロタウイルスワクチンが2種類あるということをまず知っておく必要があります。
ロタウイルスワクチンの種類
ロタウイルスワクチンには「ロタリックス」と「ロタテック」といわれる2種類のワクチンがあります。
「ロタリックス」はヒトロタウイルス由来の1価のワクチンです。
ちなみに1価とはワクチンの中に1種類のウイルスしか含まれていないことで、3価なら3種類のウイルスが含まれているという意味です。
「ロタテック」はウシロタウイルス由来の5価ワクチンです。
5価の方がウイルスの数が多いから優れているとも言えず、効果の方はほとんど差がありません。またロタリックスは1価ワクチンですが、ヒトワクチン由来というのが理由で、予防効果がロタテックよりやや高いという報告もあります。
ロタウイルスワクチンは注射ではなく、経口用の生ワクチンですので、赤ちゃんが痛がることはありません。
ロタウイルスワクチンの接種時期はいつからいつまで?
接種時期や回数は「ロタリックス」と「ロタテック」とで下記のように異なります。
ロタリックス1価ワクチンの場合
【接種年齢】生後6~24週 ※1回目は生後14週6日まで
【接種間隔・回数】4週以上あけて2回
【摂取量・方法】 いずれも1回に1.5mLを経口接種
ロタテック5価ワクチンの場合
【接種年齢】生後6~32週 ※1回目は生後14週6日まで
【接種間隔・回数】 それぞれ4週以上あけて3回
【摂取量・方法】 いずれも1回に2.0mLを経口接種
ロタウイルスワクチンを接種する際の注意点
上記の接種年齢期間は推奨期間ではなく、厳守期間であるということに注意する必要があります。腸重積症のリスクが高まる月齢までに接種を終わらせて安全性を高めようとしているのがその理由です。
腸重積症とは腸の一部が筒状になり腸にめり込んでしまう病気で、最終的には腸閉塞に発展する病気です。
原因は不明ですが、ロタウイルスワクチンの接種が生後14週6日を超えると腸重積症になるリスクが高まるため、日本小児科学会は初回接種を生後14週6日までに受けることを推奨しています。
また、家庭の事情などや体調不良により2回目の接種が受けられないまま24週(または32週)1日を迎えた場合には、初回接種のみで終了となり、希望しても接種は出来なくなりますので注意が必要です。
ロタウイルスの予防接種の料金はどれくらい?
ロタウイルスワクチンの予防接種に関しては、地方自治体により対応が異なっており、全額負担のところもあれば、半額程度の補助金が貰えるところもあります
医療機関により料金は若干異なる場合もありますが、全額負担の場合ロタリックス、ロタテック双方とも合計で3万円ほどになります。ちなみに愛知県名古屋市などでは半額助成を行っています。
ロタウイルスの予防接種の副作用の心配は?
国内の臨床試験でロタウイルスワクチン接種後に報告された主な副作用としては次のようなものが見られました。
ぐずり(7.3%)、下痢(3.5%)、咳・鼻みず(3.3%)。その他、発熱、食欲不振、嘔吐などの症状がみられました。
副作用の症状として重篤なものは殆ど見られないことから、安心して予防接種ができそうです。
最後に
ロタウイルス胃腸炎に対しては有効な治療法が無いのが現状です。感染してしまうと嘔吐や下痢など非常に苦しい症状に見舞われます。
事前のワクチン接種により、そういったリスクを避けることが出来ますが、ワクチン接種の料金が3万円ほどと高額なのが課題です。
補助金を出している地方自治体は現状では僅かですので、一日も早く日本全国で格安で予防接種が出来るようになることを期待したいと思います。