長野県と岐阜県にまたがる御嶽山の噴火は衝撃的なものでした。死者も50人を超え最近の火山爆発では2011年の霧島山の新燃岳以来の噴火になります。
ちなみに御嶽山は過去4回噴火しており一番最近では2007年の3月に小規模な水蒸気噴火を起こしています。
地球表面のプレート同士がぶつかり合う日本は「火山列島」とも呼ばれるくらいに火山が多い理由があります。
海側のプレートが陸のプレートの下に沈み込んで行く過程で下部にマグマが生成されていくという日本独特の環境があるのです。
そのような理由から日本列島には多くの活火山が存在しています。そしてその活火山の数は日本列島には何と110箇所もあるのです。 110箇所というと世界の活火山数の7%ほどになります。
そして110箇所の活火山の中で噴火する可能性が高い活火山は47箇所あるといわれています。 その47箇所の活火山は危険でいつ噴火しても不思議ではありませんので常時、気象庁が監視しています。
日本の活火山一覧は以下の通りです。
火山監視・情報センターにおいて火山活動を24時間体制で監視している火山マップ(常時観測火山)
そして噴火の警戒レベルによって予報、もしくは警報を発令しているようにしているわけです。 それでは噴火危険度の違いによりどの様な予報および警報を発令しているのかご説明します。
噴火警戒レベルとその内容
レベル | 警戒レベル | 火山活動の状況 | |
---|---|---|---|
噴火警報 | 5 | 避難 | 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火 が発生又は切迫。 |
噴火警報 | 4 | 避難準備 | 居住地域に重大な被害を及ぼす 噴火が発生又は予想される。 |
火山周辺警報 | 3 | 入山規制 | 居住地域の近くまで重大な影響 を及ぼす噴火が発生又は予想 される。 |
火山周辺警報 | 2 | 火山周辺規制 | 火口周辺に影響を及ぼす噴火が 発生又は予想される。 |
噴火予想 | 1 | 平常 | 火山活動は平穏 |
上記のように気象庁が発表する予報および警報には火山活動に応じて刻々と変化していきますので、いざという時にはラジオなどでの情報収集は非常に大切になります。
火山の噴火爆発などに備えるための避難計画はどのようになっているのか?
それでは万が一私達が住んでいる近くの活火山が噴火した場合の行政側の対応はどのようになっているのでしょうか?
現時点(2014年10月5日)において火山災害に対しての備えは全国でも遅れています。
国が活火山の周辺の市町村に対して避難路や避難施設を明示する計画作りや都道府県などと防災協議会を設けるように要望したのは2011年の12月になってからだったのです。
これは同年に霧島山での噴火が後押ししたものとみられています。
しかし現時点において国内110箇所の活火山のうち、特に監視強化が求められている47火山のうちで周辺市町村の避難計画が出ているのは7火山のみしかありません。
そのうえ1市町村も作っていない活火山がなんと32もあることが判明しています。さらに、該当市町村130のうちで計画策定は20市町村ほどしか行われていません。
このように万が一の避難計画が十分に作成されていないのが現状のようです。
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火山活動の観測・監視・評価の結果に基づく噴火警報等の発表と平常時からの共同検討
活火山噴火の予知は出来るのか?
過去に火山爆発の予知に成功した例は2000年3月に噴火した北海道の有珠山のケースが有ります。
この時は地震などの異常から分析して噴火する以前に住民15,000人が避難して人的な被害を未然に防いだとされます。
しかし、噴火の予知の難しいところは噴火のタイプおよび噴火の前兆となる地震の発生するメカニズムはそれぞれの火山によって異なることです。
ですから、噴火予知には限界があると言われています。そのうえ日本国内の大学にいる火山研究者の数が非常に少ないのでなおさらです。
それでは火山活動の観測は十分に行われているか?と言えば答えはNO!ということらしいのです。
2011年の1月に霧島山の新燃岳がマグマ噴火した時には本来、十分な観測をしていれば予測できた噴火切迫の兆候を捉えきれていなかったと指摘されているのです。
日本の主な活火山の47箇所でさえも、半数ほどしか十分な観測体制が準備されていないのが現状なのです。
まとめ
これまでの記事を見て頂いてお分かり頂けると思いますが、火山列島日本と呼ばれている割には全然火山活動や万が一の噴火に対して国のスタンスが確立していないといった事がわかります。
私が住んでいる県にも2つの活火山がありますので、今回の御嶽山の噴火に関しては他人ごととしては思えませんでした。
国や地方機関に避難計画の充実や監視体制の強化などお願いしたいのは勿論のこと、活火山への登山は極めて慎重に行わなければならないと再確認しました。
御嶽山の噴火前に放送したあるテレビ番組の特集では、「これから活火山の活動が活発になってくる」という取材結果を報告していました。
まさに御嶽山の噴火によりそれを実証した形になっています。
いずれにしてもこれからは地震と活火山との関係も踏まえて「地震予知」や「噴火予知」の研究に対して今より更に国家レベルで深く取り組んで欲しいと思います。